ユーザーの理想から考える中国語版SPEEDAの開発ストーリー

私たちは普段、SPEEDAという企業・業界情報プラットフォームを提供しています。
上海オフィスは中国への営業を展開していますが、これまでのSPEEDAには英語と日本語のインターフェースしかありませんでした。


広大な中国で本格的に展開していくにあたって、言語に対する課題を感じたメンバーが、職種の幅を超えて中国語版の開発を推進。今回はその開発におけるエピソードを、上海オフィス アナリストチームのTengteng・Shirleyと、SPEEDA ASIA Product Development Teamの宮内に聞きました。聞き手はSPEEDA ASIA カルチャー担当の馬が務めます。

劉 騰騰

TENGTENG LIU

SPEEDA Asia Global Research & Analysis Group Shanghai Analysis Team

2012年に神戸大学経営学研究科で修士課程修了。2012年8月より島津製作所の企画部に勤務。2015年の11月にユーザベース入社。現在、上海拠点でSPEEDAアナリストチームに所属。趣味は料理、半歳の娘と遊び。

王 思文

SHIRLEY WANG

SPEEDA Asia Global Research & Analysis Group Shanghai Analysis Team

2013年に上海外国語大学国際経済貿易(日本語)学科で学士課程終了。2013年10月よりDeloitte Chinaで日本企業部で監査として勤務。2016年9月よりユーザベースへ入社。現在、上海拠点でSPEEDAアナリストチームに所属。趣味はLEGOと外国語勉強。

宮内 匠

TAKUMI MIYAUCHI

SPEEDA Asia Asia Product Development Team

大学卒業後、IT系コンサルティングファームにて主に小売業の顧客に対するコンサルティング、システム構築に従事。2013年2月にユーザベースにジョインし、それ以降SPEEDA事業のプロダクト・コンテンツ開発を担当。現在はアジア事業のプロダクト開発を主に担当。

タイトなスケジュールでも、クオリティを妥協しない

馬:
まず中国語版SPEEDAの開発プロジェクトが始まったきっかけを教えてください。

Shirley:
中国語版がほしいという話が挙がったのは3年前です。実際に動き始めたのは2017年に開催された、Uzabaseグループの全社員が年に1度集まるイベント、One UZABASE Partyがきっかけでした。

Tengteng:
そのパーティーで、当時のアジア事業CEOだった太田(智之)さんに中国語版はいつできるのか直接質問しました。営業メンバーも増えたし、将来的に中国市場で事業を拡大するためには、中国語版が必要だと直談判したんです。

馬:回答は?

Tengteng:
まず優先するのは、現在英日バージョンでご契約いただいているお客様のご支援。SPEEDAはすでに約3000の業界レポートを提供しており、お客様に対して年に一度の更新をお約束しています。中国語版をリリースすることになれば、初回の翻訳だけでなく毎年の更新も必要になります。そのためには、アナリストの人数を倍以上にすることも含めて判断しなければならないので、今はまだそのタイミングではないという回答でした。

馬:
とはいえ、アジアメンバー全員が集まっている大きな会議の場で、Tengtengは意を決してアイディアをシェアしてくれたんですよね。Tengtengの思いを受け、中国でSPEEDAをお使いいただいている既存のお客様を中心に、ニーズの有無のヒアリングを始めたと聞いています。

宮内:
そしてSPEEDAのアジア戦略として、2019年の上半期は中国の日本企業にフォーカスすること、併せて中国語版の開発を進めることが決まりました。

SPEEDAは日本発のプロダクトで、日本企業やアジア企業のデータが豊富に格納されています。必然的に日本企業の利用が多くなっていますが、中国には、日本から進出してきたばかりの会社もあれば、中国で長くビジネスを展開している会社もあります。

中国語版の開発を決定した背景として、特に後者の中には現地採用の中国人社員の方が事業の中核を担っていらっしゃるケースもあり、日本人と中国人が同じ情報分析プラットフォーム上で情報交換できることが価値になると感じたからと聞いています。

各社には中国メンバーもSPEEDAを使いたいというニーズがあるものの、英語版もしくは日本語版だけでは活用が難しい。中国語版を提供することで、中国に進出している日本企業の情報分析・意思決定のインフラに一歩近づけるという判断でした。

馬:
海外の大手経済情報プロバイダーで、プロダクトを中国語化している会社はほとんどありません。SPEEDAも英語版もしくは日本版のまま利用いただくプランもありましたが、本気で中国市場に展開するなら、現地スタッフに使ってもらうようなプロダクトにしたい――だから中国語版を作ろうと決めたんですよね。

でもリリースまでは怒涛のスケジュールでした(笑)。開発が決まったのは2018年12月、リリースしたのは今年の4月でしたよね?

Tengteng:
日本の正月と中国の旧正月を除いて、実質12週間くらいでリリースしました。時間が全然足りなくて……最初にスケジュールを聞いたとき、プロジェクトメンバー全員が「無理だ」と思いました。

まずは実用に耐えられるほど精度の高い英中翻訳APIがないかを探し、クオリティ検証を重ねて導入を決めました。ただ、機械翻訳だけでは不十分なので、やはり人の目でチェックし翻訳する必要があって。とにかく量が多くて、何千個もの単語を1~2日以内に全部翻訳するようなスピード感でした。

馬:
誰もプロの翻訳者ではないのに、言語化プロジェクトを担当するのは大変でしたよね。言語の専門知識(expertise)と会計士の専門知識の両方が必要だったと思います。

Tengteng:
政府が発表している中国語翻訳のガイドラインなどを検索し、できる限り自然な翻訳になるよう心がけました。
SPEEDAを使うお客様には、プロフェッショナルな人が多い。だから普通の中国語ではなく、プロが使う中国語にしなければと考えたんです。

さらに翻訳して終わりではなく、本番に反映させた後に細かいエラーが出るので、プロダクト開発のチームと協力しながら、何度もチェックしていきます。この繰り返し作業がかなり多かったですね。

宮内:
お客様が見る画面をチェックすると、細かい部分に違和感があるんです。使う際のコンテキストがあるので、それに合わせてボタン1つひとつの言葉にもこだわりました。量だけでなく質もかなり追求したつもりです。

実は正式リリースより前の2018年末、まだ開発が1/3くらいしか終わっていない段階で、既存のお客様にトライアルでお使いいただけるようにご案内したんです。だからお客様もだんだん中国語に変わっていくのを、リアルタイムで見ていた形ですね。セールスメンバーも、リリース前からお客様に中国語版のデモを見ていただいていました。

Tengteng

7つのVALUEを体現するようなプロジェクト

馬:
UZABASEには「7つのVALUE」という大切にしているカルチャーがあります。今回のプロジェクトは、全部当てはまるのではないでしょうか。

<7つのVALUE>

  1. 自由主義で行こう
  2. 創造性がなければ意味がない
  3. ユーザーの理想から始める
  4. スピードで驚かす
  5. 迷ったら挑戦する道を選ぶ
  6. 渦中の友を助ける
  7. 異能は才能

Shirley:
「ユーザーの理想から始める」「創造性がなければ意味がない」「自由主義で行こう」――確かに当てはまりますね。

馬:
先ほどの翻訳の話も、単に訳するだけではなくクオリティを追求したのは、まさに「迷ったら挑戦する道を選ぶ」。

Shirley:
中国人のお客様に満足して使っていただくためにも、違和感のないプロダクトにしたかったんです。そこは妥協できなかったですね。

Tengteng:
「渦中の友を助ける」でいうと、1日に何度も連絡を取り合って、お互いに助け合っていました。例えば何かエラーが見つかったら、すぐ宮内さんに連絡し、数分後には返信が来て、翌日には本番に反映されているようなスピード感でした。

Shirley:
このプロジェクトが始まる前は、プロダクトチームとはあまり交流がなかったけど、プロジェクトを通じてすごく仲良くなった気がします。プロダクトチームと仕事することで、自分たちのやっていることがプロダクトに反映されていくのを体験できて、すごくワクワクしました。

馬:
上海オフィスメンバーのチームワークも、以前より良くなったと思います。

Tengteng:
1人では分からない・決められないことがあれば、すぐみんなで議論して結論を出すようにしました。結果的にコミュニケーション量は増えましたね。

Shirley

より多くの人に使ってもらえるプロダクトに

馬:
中国語版をリリースして、もうすぐ半年が経ちます。今振り返ってみて、最も達成感を得たことは何ですか?

Tengteng:
英語も日本語も読めない中国の現地企業や、中国人の社員さんたちが、SPEEDAを使えるようになったのは嬉しいですね。もう1つは中国企業に営業する際、中国語版があることで興味を持ってもらいやすくなったことです。

宮内:
実際、今年新たにご契約いただいたお客様の約30%は、中国語版の存在が契約の主要因だと聞いています。今後も中国語版を評価いただき、ご契約につながるケースは増えていくと思います。

Shirley:
今後私たちは、ますます中国企業への価値訴求も強化していく必要があります。その中で、中国語版の存在は大きな武器になるはずです。

馬:
一旦プロジェクトは終わりましたが、今後チャレンジしたいことについて教えてください。

王:
中国語バージョンでは、今もどんどん新しいコンテンツをリリースしています。改善しなければならない部分もあるし、もっともっと良いプロダクトにしていきたいです。

宮内:
一旦リリースはしましたが、もっと良くできるところがたくさんあるので、改善し続けて、より多くの人に使ってもらえるようなプロダクトにしていきたいと思っています。

Tengteng:
今回は業界レポート本文に対する自動翻訳APIの導入、サイドバーなど固定表示部分のマニュアル翻訳に加え、画面遷移の違和感の微調整も行いました。さらに在中国の日本企業を対象にした企業を抽出できる「ターゲットリスト機能」の開発を短期間で進めました。ただ、中国系企業の英語表記の精度向上や、それに伴うニュースと企業情報の紐付けなど、手動で修正したい部分は多く残っており、まだまだ進化の余地があると考えています。

さらに今の中国語版の上で、SPEEDAにしかない最新の価値ある情報をさらに発信していきたい。既存のコンテンツに加え、ビジネスシフトを促す変化とその影響=「トレンド」と定義し、企業・業界情報に並ぶSPEEDAの新たなコンテンツとしてリリースした「SPEEDAトレンド」など、今後もさらにコンテンツを拡充していく予定です。それはお客様にとっても有意義なことのはずです。

ユーザベースグループでは仲間を募集しています。

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