インサイドセールス=テレアポで終わらせないために。水嶋玲以仁とSPEEDAが考えるインサイドセールスの未来

従来の訪問型営業に対して、オンライン商談システムやメールを活用した、訪問を必要としない営業スタイル「インサイドセールス」が注目を集めています。


今回、Google、Dell、Microsoftなどトップグローバル企業でインサイドセールスを行ってきた水嶋玲以仁さんによる書籍「インサイドセールス 究極の営業術」が発刊され、ユーザベースグループのSPEEDA インサイドセールスチームの事例も紹介されています。


なぜこの書籍を出版しようと思い立ったのか、どのような人に読んでほしいのかを著者の水嶋さんと、SPEEDA インサイドセールスのメンバーに聞いてみました。

水嶋玲以仁

REINI MIZUSHIMA

グローバルインサイト合同会社 代表

東京都出身。北海道大学経済学部卒。日本メーカーから外資系保険会社に転職し財務部長まで務めた後、デルコンピュータに転職しコンシューマー部門のジェネラル・マネージャーとなる。以降、インサイドセールスの実務全般について、20年に及ぶ経験を持つ。そのうち16年間は、世界有数のIT企業でBtoB及びBtoCのインサイドセールス、営業チームの発展と管理業務に携わる(デルで7年、マイクロソフトで6年、グーグルで3年)。これらトップレベルのIT企業において、一貫して売上目標を上回り、営業チームを再編成し目覚ましいシナジーを生む結果を得る。

西川翔陽

SHOYO NISHIKAWA

SPEEDA セールス&マーケティングチーム

2010年大学卒業後、中国・インドを放浪し、ソニーに入社。本社経営企画部門にて勤務後、JICAとのジョイントODAプロジェクトリーダー、メディカル新規事業の戦略立案・オペレーション構築を行なう。2016年より東京大学生産技術研究所にて、先端農業分野の協力研究員に。2017年ユーザベースに入社後、「SPEEDA」のセールスを担当後、マーケティング・インサイドセールスのマネージャーを経て、現在に至る。 2011年に世界経済フォーラム主催のGlobalShapersに選出。

内山翔子

SHOKO UCHIYAMA

SPEEDA インサイドセールスチーム

2013年、新卒入社の国内証券会社投資相談課でリテール営業を担当。法人・富裕層を中心とした個人に対し、資産運用コンサルティングをはじめ相続対策等に従事する。2017年より、株式会社ユーザベースに入社。SPEEDA・entrepedia事業のインサイドセールスを担当。現在はインサイドセールスチームのリーダーとして、プレイヤー兼社員育成・インターン採用・育成まわり等組織形成を担当している。

勝山航陽

KOYO KATSUYAMA

SPEEDA インサイドセールスチーム インターン

国際基督教大学教養学部アーツサイエンス学科所属。2017年に長期インターンとしてユーザベースに参画。「SPEEDA」、「entrepedia」のインサイドセールスを担当し現在に至る。2019年4月に新卒としてユーザベースに入社予定。

インサイドセールス=テレアポという誤解を払拭したい

――水嶋さんがこの本を出版しようと思い立ったきっかけ、原体験を教えてください。

水嶋:
私はこれまで、Google、Dell、Microsoftなどのグローバル企業でインサイドセールスの立ち上げをしてきました。ですが独立して、日本企業数社にコンサルティングを行ったときに、インサイドセールスを導入しようとする部署の方々が、周りの理解と協力を得るために苦労している現場に遭遇したんです。自分が所属していたIT系の外資企業ではそういった不信感はほぼなかったので、率直に戸惑ってしまったんです。

そうして関係部署の方々にインタビューをするなかで、単なるインサイドセールス=営業プロセス改善・テレマーケティングという認識のままでは、思い描いていたような良い結果が出ないだろうと思い至りました。なぜならインサイドセールスは、リードを作るマーケティング、全体の施策をまとめる営業企画と、クロージングを担当し数値結果に責任をもつ訪問営業との連携を抜きに成功することはできないからです。

インサイドセールスを導入したいとご相談に来られる部署は、営業企画がメインです。営業企画は、目標を達成するために新しい施策を導入することを検討します。

ところが現場の営業部門は、ただでさえ数字を追っているのに、これ以上余計なことはできないという気持ちが強いのです。現場の方々と親しくなって話すと、悲鳴に近い声を聴くことたびたびありました。そうなると、どうしても、抜本的な見直しではなく、施策は妥協の産物となるのです。インサイドセールスも、やはり同様の流れで、導入に苦労することになります。

変えたくても、変わることができない組織は、多かれ少なかれそういったものだというのは、自分も経験しているのでよく理解できました。

 

ユーザベース、SPEEDAとの出会い

水嶋:
このときに、このままではインサイドセールスは日本市場に馴染まずに終わり、従来からあるテレマーケティング、テレアポと変わらない位置付けになるのがオチだという危機感を持ったのです。

一方で、アメリカではインサイドセールスが定着しているだけでなく、この数年でも進化発展してきています。大きな転機は、サブスクリプションモデルへの転換です。

このサブスクリプションモデルでは、製品・サービスのアップデートが、それこそ数週間単位で行われます。このアップデートを行える開発体制がアジャイルであり、アジャイルを応用したマーケティングセールスが広がる中で、インサイドセールスの役割が大きくなったのです。

そういった課題を感じているときに、ユーザベースの西川さんと出会いました。ユーザベースの組織カルチャーがアジャイルそのものであり、SPEEDAでの実践と理論を組み合わせれば説得力のある本ができると確信し、本書の企画が始まりました。SPEEDAの事例だけでカバーできないところはセールスフォース、マルケト、HDE、ベルフェイスの皆さんにも協力をお願いしました。

どの会社の方も企画趣旨に賛同してくださり、オープンに話してくれました。会社を超えたオープンなコミュニティというのも、アジャイルを促す大きな要素です。

西川:
私は水嶋さんとお会いした当時、SPEEDAのセールスを担当していました。弊社の事業や組織について水嶋さんにお話させていただく中で、インサイドセールス業界の変革に関して、並々ならぬ意思を感じました。その後、私自身がインサイドセールスも担当することになりましたが、引き継いだタイミングはチームとしては苦しい時期で、色々打ち手を考える上でインサイドセールスについて実践的な内容がまとめられた書籍は見つかりませんでした。

実際、SPEEDAのインサイドセールスチームも四苦八苦しながら立ち上げられたチーム。水嶋さんから出版の意図を伺ったとき我々の知見や失敗・成功をご共有することで世のインサイドセールスに関わられる方に非常に有意義なものになるのではないかと感じ、チーム全体でご協力することを決めました。年初の当時から考えると、マーケティングチームの成長やセールスチームとの連携が加速したこともありますが、インサイドセールスのアウトプットは倍以上に伸びていて、そのプロセスをお楽しみいただける内容になっていると思います。

実際に著書を読ませていただき、インサイドセールスの概要がわかりやすいことに加えて、組織マネジメント・教育・テクノロジー活用・KPI設定などキーとなるポイントが4社の事例で紹介されていて、読まれる方が所属する会社のステージ・サービス特性に合わせて、応用しやすい書籍だと感じました。1年前にとてもほしかった本です(笑)。

内山:
私もユーザベースにジョインする前にインサイドセールスについて勉強しましたが、体系的にまとまった書籍は少なく、間違った解釈をしている部分もありました。理論先行ではなく実践的ということも、本書の特徴だと思います。

インサイドセールスというとフィールドセールスのサポート、テレマーケティングであると思われている企業の方もおられると思いますが、それだけではありません。

インサイドセールスは新しい職種なので、「インサイドセールスだからこのやり方じゃなければいけない」等がなく、目標を達成するためにゼロベースで常に試行錯誤することができます。毎日様々な気づきを得られ、だからこそPDCAサイクルも早く回せて、本当に楽しい。本書をきっかけに、本来のインサイドセールスについて、興味を持ってくださる人が増えれば嬉しいです。

――どんな方に本書を読んでほしいと思いますか?

勝山:
本書でも書かれているとおり、私は一介のユーザベースインターン生の1人でした。

本書が出版されると伺ったとき、ユーザベースにインターンとして入ってまだ1年ぐらいだったので、「自分だからこそ伝えられることは本当にあるのか?」と、正直困惑していました。

でも私自身、インサイドセールスの成長期で困難を経験したからこそユーザベースらしいセールスのあり方をつくることができました。すでにできあがった職種ではないので、インターンや正社員といった雇用形態にとらわれずに、「あるべき姿」を追求していけるのは、インサイドセールスの醍醐味でもあると思います。

ユーザベースだけでなくいろんな会社の事例も取り上げられているので、インサイドセールス立ち上げ期の方、既にインサイドセールスを業務として行われている方、インサイドセールスをマネージしている方など、様々な立場の方々にぜひ本書を読んでいただきたいですね。 

 

「あるべき姿」を追求していけるのが、インサイドセールスの醍醐味

――現場に携わる皆さんから見て、今後、インサイドセールスはどうなっていくと思いますか?

西川:
今後の日本の労働人口の減少、ネットによる情報取得ハードルの低下、サービス・プロダクトのサブスクリプション化などの流れから、各企業は生産性を高め、より本質的な情報提供を行い、長く価値を届け続けることが求められます。インサイドセールスは、適切な情報とサービスを適切なお客様に届けることを加速できる仕事です。お客さまと自社の時間価値を最大化し、あるべき販売組織の姿をけん引できる存在として、加速度的に求められていくと思います。

水嶋:
インサイドセールスが今後、日本市場に普及するためには、2つのシナリオがあると思っています。

一つは非常に楽観的なもので、日本の多くの企業でインサイドセールスが取り入れられ、働き方改革とうまく組み合わさり、営業のアプローチそのものが、大きく変わりインサイドセールスという言葉ではなくなっているかもしれません。営業は、つらいものではなく、顧客の成功と自社の成功を一致させるためのポイントであり、そのためのツールおよびプロセスを常に革新しており、今よりも数倍生産効率が上がっているという状況です。

もう一つは現実的なもので、インサイドセールスを導入することで、企業の組織文化も革新に成功した企業と、そうでない企業にはっきり分かれて優劣の差が大きな二つのグループに分かれるというものです。

アプリもしくはネットサービス系の企業は、いずれにしてもインサイドセールスは不可避の道ですから、それ以外の企業でどれだけ普及するかによって、楽観的なシナリオに近いものになるかでしょう。

そのためにも、大手日本企業の事例が出てくることが重要だと思います。日本を代表する企業が本気で導入すれば、波及効果が大きいでしょう。私もすでに何社かの相談を受けていますが、日本の大企業が本気になって事例にできれば、楽観的なシナリオに近くなると信じています。

 

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