2022.03.07 MIMIR

個人の知見を企業の意思決定につないでいく──NewsPicks Expert誕生の舞台裏と可能性

ユーザベースグループの経済メディア「NewsPicks」とエキスパート・ネットワーク事業を運営するMIMIRの2社が共同で専門家ネットワークを開発・運営する「NewsPicks Expert」。専門性を持つ登録者の方に、NewsPicks Expertから案件を紹介し、「個人の知見」を「企業の意思決定」に繋ぐこのエキスパートプラットフォームは、どのように誕生したのか、ニューズピックス執行役員 CROの坂本とミーミル取締役の守屋に聞きました。

坂本 大典DAISUKE SAKAMOTO

NewsPicks, Inc. 執行役員 CRO

愛媛県生まれ。同志社大学商学部在学中に、インターンとしてNewsPicksの親会社である株式会社ユーザベースに参画。大学卒業後、外資系コンサルティング会社を経て、再び同社に入社。経済情報プラットフォーム「SPEEDA」の商品企画、顧客対応、営業など幅広い業務を経験した後、2013年よりNewsPicks事業の立ち上げに従事。NewsPicksにおいて事業開発全体を統括し、代表取締役社長 CEO就任を経て2021年11月より現職。

守屋 俊史TOSHIFUMI MORIYA

Mimir, Inc. 取締役 共同創業者

早稲田大学卒業。総合人材会社インテリジェンスにて採用支援、社内ベンチャーファンド1号案件となる経営顧問事業の立ち上げに従事。その後、独立プロ人材の非常勤派遣を行うベンチャー企業の創業に参画し、法人向けコンサルタント部隊管掌、および各種サービス開発等に従事。2017年、株式会社ミーミルを共同創業。

「専門家」と「仕事が集まる場」をマッチングする

――まず、NewsPicks Expert誕生の背景を教えてください。

坂本 大典(以下「坂本」):
大前提としてMIMIRという事業がそもそもあって、専門性を持つ方々を集める「NewsPicks Expert」と、そのエキスパートを必要とする案件が集まる場所を「SPEEDA EXPERT RESEARCH」というブランド名で呼び、その2つを有機的につなげ、マッチングしているのが「MIMIR」というイメージです。

守屋 俊史(以下「守屋」):
そうですね。すでにNewsPicksの中には、専門性のあるユーザーがニュースをPickしてコメントで知見をシェアするという機能があります。MIMIRは企業の依頼に対してエキスパートが知見をシェアしていくというサービスなので、ユーザーの属性も近いし、やっている行動もある意味近い。

であればNewsPicksユーザーがニュースにコメントをするだけでなく、企業に対しても知見をシェアしていくことを一連のアクションとしてできるようにすることで、世界を広げていけるのではないか。そういった構想が、2017年の創業タイミングからありました。

NewsPicksの坂本さん、梅田さん(梅田優祐/ユーザベース共同創業者)や佐久間さん(佐久間衡/ユーザベース代表取締役Co-CEO)たちとも、当時から「そういう世界って絶対来るよね」という話をずっとしていました。

――ユーザベースとMIMIRの経営統合後、どんな流れでNewsPicks Expertのリリースに至ったのですか?

守屋:
2020年4月に統合して、9月にはサービスリリースをしました。最初はただのランディングページだけというところからのスタートでしたが(笑)。

坂本:
こういうのって、最初に何か名前を作って一気にやらないとスタートしないじゃないですか。「その構想すごいね」っていろいろな検討をして、形になるのを待っていたら、全然進まない。なので「多少粗くてもいいからやるぞ」という感じで号令をかけました(笑)。形を示すことで、みんながついてきてくれた形です。

僕としては、SPEEDAの一番の価値はユーザーの方々なんじゃないかとかなり初期の頃から思っていました。日本の経済を担うビジネスパーソンの方々がこれほど使っているサービスって、他になかなかないと思うんですよ。なので、SPEEDAのユーザー同士のナレッジをつなぐ仕組みがあれば、さらに大きな価値になると考えていたんです。

そういう話を以前から梅田さん、佐久間さんとしていた中で、MIMIR買収の話があり、じゃあNewsPicks Expertを立ち上げようという話になった感じですね。

正直言うと、もしMIMIRがなければ、NewsPicksの中でそういう専門家ネットワークサービスをやろうと以前から考えていたんです。NewsPicksの中で仕事が受けられる機能をつくって、ピッカー(NewsPicks内でコメントをする方々)が仕事を得られる世界感です。そこに渡りに船といいますか、MIMIRがあって念願叶った感じですね。梅田さんからも「さかもっちゃん、前からそういうのをやりたいって言っていたよね? やりなよ!」って言われて。

守屋:
MIMIRは、エキスパート集めはNewsPicksと連携していますし、クライアントサイドについてはSPEEDAや、FORCAS、INITIALなどとも連携しています。ユーザベースグループ内のさまざまな事業と最も連携しているのは、たぶんMIMIRなんじゃないかな。それくらい、各サービスをつなぐ役割の中心を担っています。グループ全体で見ると、SPEEDAで集めたお客様から依頼が来て、NewsPicksで集めたユーザーでマネタイズが生まれる。その仕組みづくりと価値づくりとオペレーションをMIMIRが担っているという形です。

僕らとしてありがたいのは、本来なら自分たちでクライアントを探し、エキスパートを集めて、という部分にコストと人を割かなくてはいけないところを、グループシナジーを生かすことで担保されること。その分僕たちは新しいサービスやフォーマット、価値をつくるところに専念できます。


エキスパートネットワーク事業全体像

お互いのケーパビリティが見えてきたことで一体感が生まれた

――統合によるシナジー効果がある反面、ハレーションは起きなかったんですか?

坂本:
最初の3ヶ月ぐらいは、ミーティングに出ても「何でこれやるんですか?」「そもそも説明してください」みたいなギクシャクしていた感じはありましたよね(笑)。

守屋:
みんなNewsPicksの業務だけで、ただでさえ忙しいから人を採用してほしいって坂本さんにお願いしているのに、むしろNewsPicks Expertの分仕事が増えた……みたいな、そんな感じがちょっとあったと思います。でも段々と統合チームとしての一体感が生まれて、共通の目標を持って主体的に動けるようになっていきました。

坂本:
一緒にいろいろな取り組みをしていく中で、お互いの事業の良いところやケーパビリティが見えてきて、共通の構想に向かって動いていくことがスムーズになってきている感じはあります。

守屋:
逆に僕らの方で協力できること、たとえばエキスパートにNewsPicksの案件をお願いしたり、NewsPicks NewSchoolの卒業生に発注してコンテンツをつくってもらったり、そういう相互連携が今は自然に生まれています。だからグループ会社の壁みたいなものは、ほぼ感じずにみんな動けていると思いますね。

坂本:
NewsPicksとしてMIMIRと組むポイントとして重要なのは、ちゃんとピッカーの人たちにもメリットを提供することなんです。NewsPicksでPickしていたら、エキスパートに登録されて、大企業から仕事が来る。もしくは別にプロピッカーじゃなくても、NewsPicksでコメントしていたら、いろいろな人が見ていて仕事が来る──こうした接点ができるだけで、NewsPicksという場の価値が上がるのではと考えています。

ユーザベースにはSPEEDA、FORCAS、INITIAL、MIMIR、NewsPicks、AlphaDriveなど多くの事業がありますが、そのどこかで接点を持ち、恩恵を受けている状態の人をどれだけ増やせるかが、今後に向けて重要だと思っています。

――MIMIR側から見た、NewsPicks Expertへの統合メリットはどんなところでしょうか?

守屋:
NewsPicks Expert登録者の多くは「金銭的欲求」以外のニーズも強く持ってくれています。その1つは「承認欲求」のようなものです。承認欲求というと響きが良くないかもしれないですけど、1つの会社の中だけで長く勤めてきた方が、外部に自分の知見を提供することで感謝され、認められ、また依頼されるとか、MIMIRの「エキスパートアワード」で表彰されることにも喜びを感じていただける方がいらっしゃるということです。これはNewsPicks上でコメントを出して評価をされることや、プロピッカーになることにもつながっていく話かなと思います。

また自分がアウトプットすればするほど、知らない会社から「そういう視点で感謝されるんだ?」とか「そういう視点を知りたいんだ?」という学びにもつながっていく「学びの欲求」もありますし、専門家同士でつながりたい「つながりの欲求」も多い。これらのニーズに応えていけることが大きなメリットですね。

エキスパート・ネットワーク以上の可能性を秘めている

――現状の課題は何がありますか?

守屋:
エンジニアをはじめ、とにかく人が足りない! それに尽きます(笑)。

坂本:
NewsPicksにコメントしている人で、面白いなと思う人がいたら仕事を打診できる機能があれば最高だと思うし、早くそれを実現したいんですけど、リソースが足りてなく、まだ実現できていないです。MIMIRというサービスは、ただのエキスパート・ネットワークじゃなくて、人と会社が出会う最初の接点となり、将来は求人サービスにもなり得るということを示したいですし、それを愚直にやり切れるかどうかが重要なんです。

守屋:
ただのエキスパート・ネットワークじゃなく、それ以上の大きい可能性を秘めていますよね。そのビジョンを坂本さんや佐久間さん、ユーザベースの経営陣と共有し、実現できると思ったからこそ統合しましたし、それをどんどん具体化していこうとしています。あとは人が足りないだけっていう……(苦笑)。

――今後取り組みたいことは?

坂本:
NewsPicksの中での機能統合はやっていきたいですね。あとピッカーとエキスパートがどんどん交わるような機会もつくっていくつもりです。

守屋:
エキスパートがプロピッカーになる機会があり、プロピッカーのコミュニティーにも参加できるとか、「NewSchool」の講師としてさらに活躍するとか、気づいたらSPEEDA上にもコメントを載せていて、有名人になって仕事がじゃんじゃん来るとか……エキスパート兼プロピッカー、エキスパート兼ピッカーみたいな人たちが入り混じっている世界を、直近の1~3年で確実につくっていきたいと考えています。

坂本:
僕は転職の形もいずれ大きく変わっていくんじゃないかと考えています。MIMIRに登録し、エキスパートとして活動することで、信頼スコアがたまり、それが転職活動時に参考にされるような未来が来るかもしれないですし、そうなると良いなと思っています。

NewsPicksでコメントしたり、仕事を受けたりして、自分の持っているナレッジを自分の会社以外の人にも提示していく。そうすることで、対価を得ることはもちろん、対価だけでなく、人との出会いも得られ、社会的な評価も上がり、他の大きな仕事につながっていく。そういう未来をこのNewsPicks Expertで実現したいですね。

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