2022.01.12 SPEEDA

型をつくり、学び合いながらみんなでブラッシュアップしていく──SPEEDA Sales Enablementチームの立ち上げとこれから

SaaS業の教科書的な位置づけの『THE MODEL』。その著者である福田康隆氏の協力を仰ぎながら、SPEEDA事業では今回新たにNewJoiner(新入社員)の育成期間短縮と生産性向上を目指し、Sales Enablementチームを立ち上げました。設計フェーズを経て、インサイドセールスチームでのNewJoiner4名の同時受け入れ、フィールドセールスの既存メンバー向けの展開、そして横展開のフェーズへ。激動の1年間の取り組みについて、Sales Enablementチームの専任メンバーである大道寺と、SPEEDA執行役員CCOの宇佐美、そして福田氏に話を聞きました。

大道寺 咲栄SAKIE DAIDOJI

Sales Enablement Team

神戸大学経営学部卒業後、新卒で人材系ベンチャー企業で採用コンサルティングサービスの新規セールスを担当。その後、教育領域のスタートアップ企業で新規事業の立ち上げ・セールス業務を経て、2017年にユーザベースに入社。SPEEDA事業の大手企業担当フィールドセールス、インサイドセールを経て、2021年4月より Enablement Teamに従事。

宇佐美 信乃SHINO USAMI

SPEEDA執行役員CCO

上智大学法学部出身。大手金融機関での法人営業や企画業務を経て2017年2月、ユーザーとして利用していたSPEEDAを自ら進化させていきたいという想いでユーザベースに参画。SPEEDA事業コンサルティングサービス(サポートデスク)チームのマネージャー、SPEEDA事業カスタマーサクセスチーム立ち上げ、大手戦略アカウント担当を経て、2020年7月より現職。

福田 康隆YASUTAKA FUKUDA

早稲田大学卒業後、日本オラクルに入社。2001年に米オラクル本社に出向。2004年、米セールスフォース・ドットコムに転職。翌年、同社日本法人に移り、以後9年間にわたり、日本市場における成長を牽引する。専務執行役員兼シニアバイスプレジデントを務めた後、2014年、マルケト入社と同時に代表取締役社長に、2017年10月同社代表取締役社長 兼 アジア太平洋日本地域担当プレジデントに就任。2020年1月より、ジャパン・クラウドのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティング株式会社の代表取締役社長に就任。著書に 『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』(翔泳社、2019年)。

福田さんによるメンバーへのインタビューが大きな資産に

――SPEEDAでSales Enablementチームが立ち上がった背景を教えてください。

福田 康隆(以下、福田):
ちょうど1年くらい前かな。佐久間さん(佐久間衡/Co−CEO)との定例ミーティングの話がきっかけです。SPEEDAは成長領域だし、今度も人に投資していきたいという中で、「入社したセールス担当者の受け皿がない」「難しい商材なので、メンバーが1人立ちするまでに時間がかかる」といった課題がありました。そこで成長をつくるための基盤として、Sales Enablementが必要ではないかという話になったんです。

――そこからどのようにチームを組成されていったんですか?

宇佐美 信乃(以下、宇佐美):
それまでSPEEDAのセールスチームでは、即戦力を中心に年間1〜2人の採用だったんですが、将来的な成長を見据えて2021年は3倍の採用計画にしました。それに連動して若手層やポテンシャル層にも採用対象を広げていくのと同時に、育成の仕組みも新たに作ろうと考えました。

福田さんとは2020年の年末からディスカッションを始め、その中でまずは現メンバー6名にインタビューをしようという話になりました。これが結果的に、ものすごく良かったと思っています。1人1時間ずつ、立ち上がりの際に壁になったこと、前職の経験で活かされたことなどを聞きました。

みんな最初は福田さんと話すので、緊張でガチガチに(笑)。でも第三者的な視点でインタビューをしてもらうことで、いろいろな観点が見えてきたんです。それが後々Enablementの領域を作るうえで、大きな資産となりました。

――福田さんはインタビューしてみて、どんな気づきや課題を感じましたか?

福田:
私も自社以外でSales Enablement組織を作った経験はなく、ユーザベースでの従業員経験もないので、まずはリアルな生の声を聞く事が大事だと思って提案しました。ユーザベースらしくていいなと感じたのは、退職が決まっている方もインタビューに応じてくれたことです。その方の意見も非常に参考になりました。

あと、みんなに共通していたのは、他責にせずに自責の意識が強い人が多いこと。うまくいかないことがあったとき、自分ができないからと思いがちなんですが、正直、もっと会社に求めたいことがあったら言ってくれていいと思いましたね。

これまでも育成のコンテンツはある程度整備されていましたが、そのうえでの課題が大きく3つありました。

1つは自分の立ち位置がわかりにくいという点です。学ばなきゃいけないことがたくさんあって、自分がどこまでできたのかがわからない。「ステージ設計」というんですが、何を学んで次はどこにいけばいいか、その道筋を示してあげるだけで安心感が生まれ、組織として変わっていけると思いました。

2つ目はOJTやロープレ(ロールプレイング)。複数の人がいろいろなアドバイスをくれることで、むしろ混乱してしまう状態になってしまっていました。

3つ目は教えるのが入社半年くらいの先輩メンバーが中心だったので、レビューを与える側ももっと学ぶ必要がある点です。これらの課題を解決するためにも、全体を俯瞰していく役割としてEnablementが必要な状態でした。

最初の1ヶ月で、設計や大枠のフレームワークづくりを私が中心となってやりましたが、それ以降は宇佐美さんや大道寺さんがかなり頑張ってくれました。それにしても大道寺さんのパワフルさと駆動力には驚かされましたね。

福田氏01

――大道寺さんはもともとインサイドセールスでしたが、なぜこのチームに異動することになったんですか?

大道寺 咲栄(以下、大道寺):
宇佐美さんから提案をもらって、あっという間に……(笑)。

宇佐美:
そうですね(笑)。Sales Enablementの専任者を誰にするか福田さんとも相談をして、育成にWillがあり、実際にそれを行動に移していた大道寺さんに任せようと決めたのが、2020年の4月頃です。

大道寺:
ユーザベースより規模の小さいベンチャー企業に数社在籍しており、そこで若手メンバーを中心に採用し、育成することでチーム拡大を加速させ、営業組織が強くなる、事業が成長する、という実体験として目の当たりにしたんです。そこで採用・育成を起点とした事業成長の面白さとやりがいを感じていたので、ぜひやりたいと思いました。

NewJoinerの心の動きまで捉えた観察日記

――2021年の1Q(1月〜3月)に必要性の議論とSPEEDAとしてのEnablementの大枠が固まり、4月に専任担当として大道寺さんが参加されたということですね。2Q(4〜6月)からは、具体的にどんな流れで進んでいったんですか。

宇佐美:
大道寺さんとはこれまでも一緒に仕事をしてきて、タイプや志向性は把握しているので、それを踏まえてSales Enablementの立ち上げにおける優先順付とルールだけ決めました。

まずやるべきはNewJoinerの立ち上がりで、次が既存メンバーの領域。NewJoinerが実際に所属するセールスチームのリーダーと連携を密にすること。コンセプトづくりに留まらず具体的な数値成果に責任を持つこと。そして、最終的な意思決定者は私であること。この大上段のところをガチっと決めて、あとは自由に大道寺さんに暴れてもらいました(笑)。

大道寺:
Enablementに異動して、最初のNewJoinerが入ってきたのが5月でした。この1人目のメンバーが、とにかくレビューをくれたので本当にありがたかったですね。Enablementを受けてみて、ここがよかった、ここが分かりづらかった、これがあると助かるなど、いろいろなフィードバックをくれたので、それを元に細かくチューニングをしていきました。

福田:
大道寺さんとの壁打ちは毎週30分やっていたんですが、すごいなと感じたのが、取り組みや成果だけでなく、NewJoinerの心の動きまで観察日記のようにつけていたこと。これを読むだけでも、何をしているのか、どんな状態なのかがよくわかる。あのやり方は盗んで、他のところでも活かしたいくらい(笑)。

大道寺:
採用にも活かしたいという想いが強かったからかもしれません。2Q(4〜6月)からポテンシャル層の採用に初めて取り組んだものの、「ポテンシャル層」って具体的にどんなキャリア、スキルセットのある人を指すのかフワッとしていて、採用現場が混乱してしまっていたんです。採用経験がない中でポテンシャル層の活躍人材の再現性を出すためにも、Enablementを活かして入社後の活躍につながりやすい要素を抽出したいと考えていました。

――そして3Q(7〜9月)は、一気に4名のNewJoinerを迎えたんですよね。

大道寺:
はい。4名同時入社は、当時は非常にチャレンジングでした。「法人営業・新規開拓営業の未経験者」と「同時に4名、かつ若手メンバー」を迎えることが初めてだったからです。結果、当初予想を上回る順調な立ち上がりで今や戦力メンバーになってくれています。

立ち上がりが好調だった要因は、以下の3つだと考えています。

1つ目は入社される2ヶ月前から、福田さん、宇佐美さん、私との定例MTGで事前に何度も議論し、準備したことです。たとえば、「SPEEDAのインサイドセールスとは?」というContentsを用意し、最初にしっかり伝える。前職の何が活きるかという点に着目してトレーニングしていくなどですね。

2つ目はEnablementプログラムを、第1号の神山さんでしっかりブラッシュアップした状態で臨めたこと。3つ目は私がEnablementにリソースをフォーカスし、コミュニケーション量をしっかり取ったことです。また、Newjoiner同士の成長意欲が高く、ナレッジシェアを活発に行ってくれたことも大きかったと思います。

宇佐美:
あとNewJoinerには、最初に福田さんと面談をしてもらいました。福田さんの『THE MODEL』を入社前の課題図書として読んでいるので、著者を目の前にやっぱりみんな緊張していました。私の役割はその面談の場でのアイスブレイク(笑)。

福田:
1Qで現メンバーにインタビューをした時、前職とSPEEDAの営業の違いにギャップを感じたというコメントが多かったんですよ。だからみんなのバックグラウンドや、インサイドセールスへの理解度を把握したうえでフォローした方がいいと考え、全員と面談しようと決めました。あと個人的な趣味かもしれませんが、やっぱり顔の見える人と仕事をしたほうが楽しいから、という理由もあります。

――3Q(7〜9月)は同時にフィールドセールスの既存メンバーへのEnablementも始めたと聞きました。大変ではなかったですか?

福田:
NewJoinerのオンボーディングは、型をつくれば回っていく仕組みになっていて、あるところまでいくとチューニングしても得られる効果は少なくなっていきます。そこで次にインパクトが出るのは、既存の営業メンバーの底上げです。順序として次にやることは決まっていたので、バリューセリングや外部の研修なども調べながら、大道寺さんたちと一緒にSPEEDA用に作っていった感じです。

大道寺:
大変だったのは、ゼロベースで作り上げたこと。NewJoiner向けの育成プログラムはこれまでも一応あったけど、既存のセールス向けのEnablementは初めて。福田さんと相談させてもらいながら、結果的に内製でつくり上げました。

大道寺01

型化することで、より個人の個性が発揮されていく

――プロジェクトからチームになり、事業にもインパクトを与えられる体制になりました。いよいよは、スケールと中長期テーマへの着手に挑むわけですね。

大道寺:
そうですね。NewJoinerの立ち上げは、独り立ちまでの期間を6ヶ月から3ヶ月に短縮することができ、お2人からも完了のお墨付きをいただいたので(笑)、次は生産性向上のテーマに取り組みます。

当初は、専任1名でのスケールは伸び幅が少ないかと感じたんですが、手探りながら進める中で、人数を増やさずにスケールする可能性はあると実感するようになりました。

なぜかというと理由は大きく2つあって、1つは成果が出るためのアクションを構造化・言語化・初期装着をEnablement Teamで担い、その後チーム内で運用へと移管していくことでスケール化が可能であること。

2つ目は、SPEEDAのEnablementの取り組みへ興味を持った社内メンバーから、声をかけてもらう機会が増えたことです。FORCAS・NewPicksのセールスチームなど他事業部や、コーポレートのメンバーから「うちもやりたいので話を聞かせてほしい」「コンテンツを使いたいので資料をください」といった依頼がきているので、他のチームへのノウハウ提供でもっと広めていけるんじゃないかと思っています。

福田:
どんどん社内広報していった方がいいですよ。一番失敗しがちなのが、経営陣が「Enablementやるべきだよね」と始めても、営業リーダーや現場のメンバーが関心を持てない状態になること。「そもそもEnablementは何のためにあるのか?」を改めて意識することが大事です。「育成期間を短縮する」「売上をあげる」といった課題があるからやるわけですよね。それを経営層も現場も理解すべきだと強く思います。

宇佐美:
目指していることが徐々に社内に広まって、Enablementをやりたいという人が増えているのは嬉しいですね。異動が叶うかは別として、関わってみたいと言ってくれる。別にSales Enablementチームだけが育成をしていく必要はなくて、現場のリーダーと役割分担をしたり、型化することで他の人でも取り組める仕組みを作ったり、できることがまだまだある。

ユーザベースって「自由」が好きで、「型化」が苦手な人が多いじゃないですか。実は私も生産ラインみたいに同じ人を生み出すようなイメージがあって、あまり好きではなかった。でも今は、型化のフェーズがあることで個人のタレントがより発揮されていく感覚に変わっています。

――そのきっかけは?

宇佐美:
それはもうNewJoinerたちの輝きですよね。型はつくっているけれど、型にはまっていないし、むしろどんどんはみ出していく。個人の能力だけに依存したやり方をしていると、それがむしろチームとしてのキャップになってしまう。型をつくることで個性が発揮されるし、プロダクトと同じようにその型もみんなで一緒にブラッシュアップしていく前提があるのもいいなと思っています。

宇佐美01

――最後に、今度目指していることを教えてください。

大道寺:
短期的には、SPEEDA事業で生産性向上に直結する定量的な指標でのインパクトを出したいと思います。

「育成」というテーマは定性的な成果になりやすいんですが、各チームと連携し定量的な目標を設定し、「成果にコミットする」Enablement Teamを体現したいと思っています。

そして定量的な成果を出すことで、Enablementへの関心や可能性を感じてくれる人が増えれば、ユーザベース全体への貢献をどんどん波及していけると考えます。

中長期では、SPEEDA事業の成長戦略を実現するための組織戦略を、先見の視点で描き、実行する存在・貢献ができればと考えています。まだまだこれからのテーマですが、採用領域や目標設計/フィードバック領域へも、より一体化し実現していきたいと思います。

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