2020.07.30 AlphaDrive

トヨタの若手社員がどうしてもスタートアップに出向したかった理由――大手企業を変革する社内新規事業開発の仕事

大手企業の新規事業創出をサポートするAlphaDriveでは、2020年1月より出向社員を受け入れています。トヨタ自動車に入社し6年目となる土井雄介は「どうしてもAlphaDriveで働きたい」と自ら動き、AlphaDriveへの出向を実現させました。自身も社内公募制度で提出したプランの事業化がなかなか実現しない経験を持つ土井と、土井の意欲を受け入れた取締役の平尾に話を聞きました。

土井 雄介YUSUKE DOI

AlphaDrive インサイドインキュベーションリード

2015年東京工業大学大学院卒業後、トヨタ自動車へ入社。改善支援業務を経験した後、2018年より役員付きの特命担当に就任。社内有志によるビジネスコンテスト「A-1TOYOTA」共同発起人や有志活動「ONE JAPAN TOKAI」の代表として、東海地域から共創の風土を醸成する活動を手掛ける。 2020年1月からAlphaDriveへ出向し、新規事業支援を担当。

平尾 譲二JOJI HIRAO

AlphaDrive 取締役

株式会社リクルートに入社後、インターネットマーケティング局にてSEO・SEMを全社統括。2011年に社内新規事業制度「NewRING」でグランプリ獲得以来、一貫して新規事業立ち上げに携わる。2014年新規事業開発プログラム「Recruit Ventures」を設立し、事務局長兼インキュベーションマネジャーとして約2000のエントリープロジェクト、約60チームの事業検証に関わる。2018年8月より現職。

ビジネスプランが事業化されず「何か」が足りないと思い悩む日々

――土井さんはなぜトヨタからAlphaDriveに出向しようと思ったんですか?

土井:
出向を考えたのは、社会人4年目。役員付きの特命担当として、新しい技術を活用した戦略立案やグループ横断のオープンイノベーション施策を企画していた頃のことでした。

入社してから企業の業務改善支援を担当していたものの、次第に「0 → 1」で新規事業を立ち上げたいという気持ちが大きくなっていきました。入社2年目のときに有志でビジネスプランコンテスト「A-1 TOYOTA」を立ち上げ、その後も全社公募制度「B-project」に事業プランを提出。僕の提出したアイデアは2年連続で事業化採択案件に選ばれたものの、どちらも未だに事業化へ向けて険しい道のりを歩んでいます。

優秀なトヨタの同僚や上司に囲まれ、仕事はとても充実していました。しかし、僕がアイデアを事業化するには「何か」が足りない、だけどそれが何なのかわからない――そんなもどかしい気持ちを抱く日々が続き、もしかしたら社外にその知見はあるのではないかと考えるようになりました。

僕が新規事業に興味を持ったのは、社会にいるとてつもなく優秀な人が、その能力を最大限生かし「想いを持った人が、やりたい時に、やりたいことができる」環境をつくりたいと思ったから。それが誰かの困りごとを解決する新規事業であれば、もっともっと世の中の困りごとがなくなり、社会が良くなるだろうなと考えたんです。

新卒でトヨタに入社したのは、社会のために事業で貢献する「産業報国」を標榜している点がすごいと思ったから。産業を通じて国に報いたいと説くトヨタで新規事業を生み出せれば、日本を変えられるはず。そこでまず、既存ビジネスをより効率的にスケールさせる「トヨタ生産方式」や「改善」というトヨタの強みを学ぼうと考えました。


AlphaDrive土井

――なぜ出向先にAlphaDriveを選んだんですか?

土井:
僕が東海地方の代表を務める有志団体「ONE JAPAN」の代表者会議で、「すべての会社員は社内起業家として覚醒できる」という麻生さんの言葉を聞き、「僕が欲しかったのはこれだ!」と確信したからです。

すべての会社員が新規事業を生み出せれば、トヨタはもっと変われる。トヨタが変われば日本も変わる。それに「誰でもできる」という麻生さんの考え方は、トヨタの「標準化」や「横展思考」とも相性がいいと感じました。

どうしてもAlphaDriveへ行きたいと思い、一度は真剣に転職も考えました。ただ、転職してしまうより出向の方が、より多くの社員が他社のビジネスやカルチャーを体感できる。そうすれば、大企業の変革をドライブする大きな突破口になるのではないかと思ったんです。トヨタの役員や上司からも「土井さんの後に続く社員がいるかも知れない」と言っていただきました。若手の新しいチャレンジを応援してくれるトヨタにとても感謝しています。

僕自身がパイオニアになりたいと思い、1年かけて人事や役員、上司を説得。途中で上司を連れて麻生さんに会いに行くなどし、2020年1月にようやくAlphaDriveへの出向が実現しました。

入社半年で5社を担当。「新規事業は総合格闘技」と実感

――平尾さんにお伺いします。なぜAlphaDriveは土井さんを受け入れたんですか?

平尾:
土井さんから「どうしてもAlphaDriveで働きたい」というアプローチを受け、率直に「一緒に働きたい」と思いました。僕たちはもともと日本を代表するトヨタという会社といつか仕事をして、そのすごさを吸収したいと思っていたところでもありました。
若手の情熱を受け止めて彼をベンチャー企業に送り出したトヨタの器の大きさもすごいですよね。

大企業では大変なはずの社内調整に時間をかけ、根気よく実現にへこぎつけた土井さんの実行力にも目を見張りました。そんな土井さんの熱量と実行力で、お客様の心に火を付けて欲しいと思ったんです。

――カルチャーの異なる大企業から出向してきた土井さんに、どんなことを期待していますか?

平尾:
大企業出身者だからこそ、お客様の課題を身近に感じられる点です。トヨタで経験を積んできた土井さんの力とAlphaDriveのメソッドが掛け合わさることで、お客様に大きな価値を提供できるはず。土井さんにはたくさんのお客様をサポートしてもらって、できるだけ早く新規事業開発のプロフェッショナルになってほしいと思います。

――土井さんは、念願叶ってAlphaDriveに入社していかがですか?

土井:
「新規事業は総合格闘技」と麻生さんがよく言うのですが、まさにその通りだと感じています。自分はボクシングで戦っていたと思ったら、相手はムエタイの技を繰り出してくる、みたいな(笑)。

新規事業をサポートするには、基本的なビジネススキルから、世の中の最新動向、周辺環境の理解、事業開発の力、お客様に指導・アドバイスをするメンタリングの力まで、たくさんの知識やスキルが必要です。毎日事業開発や顧客開発に携わることで、出向して半年で今までの5倍ぐらいのスピードで成長したような手応えを感じています。あっという間に時間が過ぎ、楽しく、チャレンジングな日々を送っています。

現在は大手通信会社の新規事業制度設計や、大手金融会社の事業部立ち上げに携わるなど、5社のお客様を担当しています。大手通信会社のプロジェクトでは、自分がお客様の元へ新規で営業に行き、提案書をまとめて契約にこぎつけました。今はお客様の抱える問題点を特定し、一緒に整理しながら制度設計を行っています。大手カード会社のプロジェクトでは、ある事業部をつくる際にアイデアの整理から現場のヒアリングまでお客様と伴走しています。

―出向して半年で大手のお客様を担当するのは、プレッシャーが大きそうですね。

土井:
そうですね、そのスピード感もAlphaDriveらしさだと思います。出向から何ヶ月か経ってトヨタに報告した際、「もう主担当を持っているの?」と驚かれました。

研修プログラムはありませんが、いきなり単独で仕事を任されるわけではありません。どのお客様を担当する時も、基本的にはツーマンセル(2人1組)です。最初は先輩の白杉さんが担当するお客様にサブ担当として入り、やり方を見て学びました。

それと並行して、社内のクラウド上にある資料や動画、ウェビナー、NewsPicksアカデミアのオンライン講義「MOOC(ムーク)」を片っ端から視聴し、知識を吸収していきました。AlphaDriveでは新規事業開発の方法がフレーム化されているので、社内の資料を読んで勉強することで、知識面はある程度キャッチアップできると思います。

お客様とのミーティング前には白杉さんからの指導やアドバイスもありますし、終わった後には振り返りをしてもらえます。しばらくして白杉さんから「次からは土井に主担当を任せます」と、お客様に言ってもらえたときは本当に嬉しかったですね。主担当を任されてからも、サブ担当の白杉さんとは一緒に動きますし、困ったことがあれば白杉さんがすかさずフォローしてくれるので、安心してお客様に向き合うことができます。

――大企業出身者だからこそAlphaDriveで活かせることは何だと思いますか?

土井:
大企業ならではの課題感や、仕組み、カルチャーを知っているので、起案者の気持ちにも寄り添えます。自分自身が大企業で起案経験があるからこそ、事務局の方々が何に困り、次にどうすればいいのかもわかります。これは大企業出身者ならではの強みではないでしょうか。

新規事業開発の経験があれば、ユーザベースグループとのカルチャーの違いはまったく気になりません。ビジネスの変化スピードが圧倒的に早いので、むしろ自分自身をアップデートし続ける厳しさを持っていた方がいいと思います。

平尾:
そうですね。AlphaDriveは大企業で新規事業開発を経験してきた人たちが多いので、これから入社する方々もすぐに馴染めるし、お互いの気持ちがよくわかると思います。新規事業開発の経験があれば、「フットワーク軽く動く」「オープンマインドで周りを動かす」ことには慣れているはず。新規事業を突き動かしてきた熱量や実行力は、間違いなくAlphaDriveで活かせます。

アドバイスより実践。お客様に火をつけ伴走して欲しい

――インサイドインキュベーションリードの仕事の面白さとは?

平尾:
お客様の目に光が灯っていくのを、すぐ近くで見れるところです。新規事業立ち上げの事務局担当者は、最初の段階は一人で奔走するケースが多いんですが、私たちと一緒にキックオフを行うことで、人事や広報の方々に続々と火がついて、社内に味方が増えていきます。

さらに社内公募制度をリリースするとたくさん応募が来たり、社内から褒められたりする。私たちが「社内のこういう人に相談してみたらどうですか?」などとお伝えし、それを実行することで新規事業立ち上げが前へ進んでいく――そんな風に、お客様の変化が加速するところを目の当たりにできるのは本当に面白いですし、この仕事の醍醐味だと思います。


AlphaDrive平尾

――なぜコンサルティングファーム出身者より、新規事業開発の経験者が向いているんですか?

平尾:
豊富な知識とそれを的確に伝えるスキルも重要ですが、何よりも重視しているのは実践経験です。大企業で新規事業に関わったことのある人は、その大変さや苦労を身をもって実感しているはずです。中には、土井さんのように起案したものの事業化の難しさに直面した人や、事業化したものの数年でクローズしたといった経験を持つ人もいるでしょう。その経験があれば、お客様の気持ちに寄り添えると思うんです。実際、AlphaDriveのインサイドインキュベーションリードは同様の経験を持つ人ばかりです。
応援者、支援者であるインサイドインキュベーションリードの経験は、確実に次のキャリアにも活きると思います。

――今後の展望について教えてください。

土井:
大企業とスタートアップを比較されたり、大企業は「イケてない」と思われたりすることも多いですが、両者が連携しながら価値を発揮し合うことで、真の企業変革を起こしたいと思っています。

大企業の中にいると自社のプロダクトありきでビジネスを発想してしまいがちです。でも新規事業は世の中の困りごとをビジネスで解決するもの。大企業から「困りごと」ベースで発想する人が増えれば、日本はもっと良くなるはずです。

お客様のお話を伺っていると、「トヨタをもっと変えたい」「トヨタにもこの熱量を持ちこみたい」と強く思います。これからも「日本の未来のために何ができるか」を考えながら、お客様と伴走したいですね。

平尾:
すべての企業は絶対に変われるし、企業変革は起こせると信じています。変革のために、あらゆる企業に新規事業の立ち上げという手段を生かして欲しい。「インサイドインキュベーションリード」に携わる人を増やし、すべての企業を内側から変革したい。そのノウハウが詰まっているAlphaDriveで、今後も企業の新規事業担当者に火を付けていきます。

※本記事はオンライン(zoom)にて取材しました。

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